自動車の運転を仕事にしたいと考えた時、タクシー運転手、ハイヤー運転手、トラック運転手などが出てくると思いますが、どれも2種免許や中型・大型免許などの免許が必要となります。もちろん、こうした免許を取得して仕事をするのも1つの方法ですが、1種免許でもできる仕事があります。それは、自家用自動車運行管理業でのドライバー業務です。
そこで今回は、1種免許でもできる自家用自動車管理業のドライバーとはどんな仕事なのか、そしてタクシーやハイヤー運転手とは何が違うのかをご紹介します。
【自家用自動車運行管理業とは】
自家用自動車運行管理業といわれるとピンと来ないかもしれませんが、具体例をあげてみるとイメージしやすいと思います。
・介護施設や病院などの送迎
・保育園、幼稚園、こども園、小学校、塾などの送迎
・役員の送迎
・従業員の送迎
・ホテルの送迎
自社の職員や社員が運行管理や運転を担っている場合もありますが、外部委託をする際の委託先となるのが自家用自動車運行管理業を行っている会社です。
この章では、自家用自動車運行管理業の業務と、そこでの送迎ドライバーの仕事内容をご紹介します。
<自家用自動車運行管理業務>
自家用自動車運行管理業とは、介護・医療施設の送迎車、スクールバス、役員送迎車などの車両の運行を管理することが仕事です。ドライバー派遣のように運転だけを行うのではなく、車両運行・管理に関わる業務全体を請け負うことになります。
具体的な業務には、以下のようなものがあります。
・運転業務
依頼主が所有する車両を、管理請負会社に所属するドライバーが運転します。
・ドライバーの管理、教育
ドライバーの労務管理、運転スキルのアップやマナーなどの教育を行います。
・車両メンテナンス、清掃
日々のメンテナンスはもちろん、法定点検、車検、消耗品(オイルやタイヤなど)の交換などを行います。また、清掃業務も担います。
・燃料の調達(給油、充電)
ガソリンの給油やバッテリーの充電など、燃料の調達を行います。
・自動車保険加入、事故対応
任意の自動車保険に加入し、万が一事故が発生した場合は交渉や補償まで担当します。
・運行計画の作成、管理
送迎車両の運行ルートや運行スケジュールの作成、管理を行います。
上記のように様々な業務を行うため、通常は依頼主と長期契約を結びます。
依頼主としては、運行車両を用意する以外、ほぼすべての業務を任せることができます。
ドライバーの確保が不要なだけでなく、コスト管理や人員管理、そしてそれら管理業務行う人員の確保も不要になるのです。
<送迎ドライバーの業務>
自家用自動車運行管理業務の送迎ドライバーとは、どのような仕事かをご紹介します。
所属する企業によって多少違いはありますが、以下のような業務を担うことが多いです。
・送迎車両の運転
最も重要な業務が、この送迎車両の運転です。送迎車は、乗用車のこともあれば、バスのこともあります。基本的には、決められた運行ルート、運行スケジュールに従って運転を行います。
・利用者の乗降対応、人数確認
所定の位置に停車してドアを開け、利用者をサポートしながら乗り降りの対応をします。乗車人数の確認を行ったり、乗車予定の利用者が乗車しなかった場合、必要に応じて連絡を取ったりすることもあります。
・車両の清掃、管理
日々の車両の清掃、点検や給油等を行います。
法定点検や車検などについては、基本的に安全運転管理者が行います。
・運行日報の作成
必要に応じて、運行日報を作成します。何時に誰が利用したかなどを記録します。
依頼主と自家用自動車運行管理会社とは、請負関係にあります。そのため、送迎ドライバーは依頼主から直接指示を受けることはありません。指揮命令は送迎ドライバーが雇用契約を結んでいる請負会社側から受けることになります。
必ず必要となる資格は、第1種運転免許です。請負会社によっては2種免許を求められることもあるかもしれませんが、法律上必要な資格ではありません。バスなどの大型車両を使った送迎ドライバー業務を行うためには、それに伴う免許(中型・大型)が別途必要になります。
【タクシー・ハイヤー運転手との違い】
同じ運転手でも、自家用自動車運行管理業の運転手とタクシー・ハイヤー運転手とは違いがあります。この章では、その違いについてご紹介します。
<提供サービスの違い>
自家用自動車運行管理業の運転手は、基本的にあらかじめ決められた送迎ルートを、決められた時間に運行します。依頼主と請負企業が、時間制で、数週間・数カ月単位で契約をすることが多いです。タクシー・ハイヤーでは、基本的にはメーター制で料金が発生し、お客様のオーダーに合わせて目的地まで輸送します。
ただし、タクシーとハイヤーにも違いがあります。流しの営業も行うタクシーに対して、ハイヤーは完全予約制です。ハイヤーにもメーターは付いていますが、お客様からは見えないように隠されていますし、時間制の料金形態もあり、車種によっても料金が異なります。料金が発生する範囲にも違いがあります。タクシーは基本的に乗車地から降車地までに料金が発生しますが、ハイヤーの場合は営業所を出発してから戻るまでが料金に含まれます。また、タクシーがあくまでも公共の交通機関の1つなのに対し、ハイヤーではハイクオリティなサービスの提供が求められます。
<車両所有者の違い>
自家用自動車運行管理業では、依頼主の用意した車両を運転します。タクシー・ハイヤー運転手の場合は、所属企業が所有している車両を運転することになります。
<必要免許の違い>
旅客自動車を使い、旅客輸送を目的として運転する際には、2種免許が必要です。旅客自動車を使った旅客輸送とは、運賃を払って乗車しているお客様の輸送を指します。タクシー・ハイヤーは、この旅客自動車をつかった旅客輸送にあたりますが、自家用自動車運行管理業はこれにはあたらず1種免許のみで運転ができます。介護施設やホテルなどの送迎というと旅客の輸送なのではないかと感じるかもしれませんが、この場合、介護施設やホテルの運営におけるサービスの一部であり、送迎自体に料金が発生していないため旅客の輸送にはあたらず、自家用車と同じ扱いになるのです。
依頼主の自家用車の運転であっても、自動車運転代行業としてお客様から料金をいただいて運転をする場合には2種免許が必要です。
2種免許を取得するには、満21歳以上であり、1種免許を受けて、運転経歴が(停止期間を除いて)3年以上経過している必要があります。視力についても規定が厳しく片眼で0.5以上、両眼で0.8以上、深視力検査で誤差が平均2cm以下であることが条件となっています。
【自家用自動車運行管理業における送迎ドライバーのメリット】
自家用自動車運行管理業における送迎ドライバーで働くことには、どのようなメリットがあるのかをご紹介します。
<1種免許のみでドライバー業務ができる>
タクシー・ハイヤー運転手はもちろん、路線バスや観光バスの運転手として働くには、2種免許が必要です。バスやトラックの運転手となると、中型・大型免許が必須となります。
自家用自動車運行管理業における送迎ドライバーであれば、1種免許のみでも業務がスタートできます。
<未経験からでもチャレンジしやすい>
1種免許を持っていれば、ドライバー未経験からでも応募を受け付けていることが多いです。
特に介護・医療施設の送迎ドライバー需要は高まっており、今後ますます活躍の場が広がることが予想されます。働きながら中型・大型免許を取得すれば、仕事の幅も広げることができるでしょう。
<比較的体力的な負担が少ない>
タクシー運転手は流し営業をしたり、タクシー乗車場で順番待ちをしたりと乗車時間が長いですし、運転時間も長くなりやすいです。路線バスや観光バスも運転時間が長くなることが多いです。高速バスであれば深夜の長時間運転がありますし、トラック運転手であれば荷物の積み下ろしの作業も発生します。こうした負荷が少ない送迎ドライバーであれば、比較的体力的な負担が少ない状態で働くことができます。
<利用者とのコミュニケーションがとりやすい>
タクシー運転手はめったに同じお客様を乗せることはありませんし、ハイヤー運転手も何度も同じお客様を乗せることは少ないといえます。路線バスであれば同じ利用者を乗せることは多々ありますが、人数が多いので個別にコミュニケーションをとることはなかなか難しいことです。自家用自動車運行管理業における送迎ドライバーの場合、ある程度決まった利用者を定期的に乗せることが多いです。利用者からの「ありがとう。」という感謝の言葉を身近に感じられるでしょう。コミュニケーションをとることが好きな方であれば、利用者の方とあいさつを交わしたり、会話をしたりして、人と人との関係性を深められることも魅力となります。
【まとめ】
自家用自動車運行管理業では、運転業務だけでなく、コスト管理や車両管理など、幅広い業務を担っています。そして、自家用自動車運行管理業の送迎ドライバーは、介護・医療施設や幼稚園・学校、ホテルや会社などの送迎を行いますが、タクシー・ハイヤー運転手のように運賃をもらっての旅客輸送ではないので2種免許が不要であり、1種免許をもっていれば業務に就くことができます。未経験からチャレンジでき、幅広い年齢層の方がやりがいを持ちながら活躍しているお仕事です。タクシーやハイヤー運転手として働くことを検討していたけれども、2種免許の取得がネックとなっていた方にもぴったりなのではないでしょうか。
弊社では、送迎ドライバーを募集しております。未経験の方でも丁寧にサポートいたしますので、少しでもご興味のある方はまずはお電話ください。「ドライバー(運転手)の募集で電話しました。」とおっしゃっていただければ、担当者におつなぎいたします。
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